弁護士のメモ帳 不動産編 Vol.5

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このメモ帳では、当事務所の弁護士が実際に関与した案件などを参考に、相続問題や不動産問題についての話題を綴ります。 今回の話題は、以前もこのメモ帳で扱ったことのある立退きのお話のうち、「知らない間に見知らぬ人が住み着いてしまった」事案をご紹介します。

  復習になりますが、家賃を支払ってくれない借主から大切な建物を取り戻すには、「立退の訴訟」やその後の「強制執行」という手続を利用しなければなりません(なお、このお話をご覧になりたい方は、「弁護士のメモ帳 不動産編 Vol.1」をぜひご覧ください。)。

実はこのような訴訟や強制執行を利用するためには、オーナーが貸した建物に誰が住んでいるか(少し専門的に言いますと、「占有者(せんゆうしゃ)は誰か」)を裁判所に伝えなければなりません。おそらく、多くの方は、「そんなの賃貸借契約書に書かれた借主に決まっているでしょ。」と思うかもしれませんが、残念ながら必ずしも借主だとは限りません。

  もう少しイメージをしやすいように、当事務所で過去に扱った事案をご紹介したいと思います。

【事案の概要】

  オーナーのご相談内容は、受任時点では、よくある家賃滞納のご相談でしたが、案件に着手した矢先に管理会社を通じて「どうやら借主以外の人がこの建物に住んでいる疑いがある。」という話が浮上しました。もし誰が住んでいるのか分からないときは、「家賃滞納はあるのに、建物を取り戻せない。」という、オーナーにとっては大変もどかしい状態が続く可能性がありました。

【解決に至る経緯】

  この事案は、弁護士に依頼していたからこそ解決に至ることができた事案と言えます。

  解決の糸口は、みなさんにも身近な「郵便物」でした。みなさんもご存じだと思いますが、通常、郵便物はそこに住んでいる方に向けた郵便物しか配達されません。つまり、その郵便物に書かれた名前が借主と違うのに届いているということは、その人がそこに住んでいる可能性が高いということになります。この事案では、この郵便物に書かれた宛名の人物の住民票を、弁護士に認められた権限で取得したことで、実際に住んでいる人を特定することができ、立退訴訟と強制執行によって無事建物を取り戻すことができました。

  ちなみに、みなさんの中には、「過去に住んでいた人が住所変更をし忘れている場合にも、同じように郵便物が届くことがあるではないか。」とお気付きになった方もいらっしゃると思います。実はこの事案ではこの点も問題となりました。ですが、この点も先ほどと同じように住民票を取得したことで無事解決することができました。

  この事案から分かるように、弁護士には法的問題を解決するために特別に認められた権限があり、先ほどの住民票の取得もその一つです。

  当事務所では、このような権限も駆使しながら、100件を超える実績と経験に裏付けされたサービスをご提供できます(年間平均20件ほどの立退き案件を扱っております。)。立退き案件でお困りの方はぜひ一度、当事務所へご相談ください。

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