弁護士のメモ帳 不動産編 Vol.2

>

 このメモ帳では、当事務所の弁護士が実際に関与した案件などを参考に、相続問題や不動産問題についての話題を綴ります。

 今回の話題は、当事務所で多数扱っている不動産案件のうち、家賃増額請求の話題です。家賃増額請求の案件は専門性が高く取り扱わない弁護士もいますが、当事務所では積極的に取り組んでいます。

 さて、都内では近年家賃の相場が上昇傾向にあります。大家さん(オーナー)としては、少しでも家賃を上げたいと考えていることでしょう。

 そこで、「家賃増額請求」を検討することになりますが、家賃増額請求については借地借家法32条に規定があります。簡単に言うと、「家賃が経済事情の変動、公租公課の増額、近隣の賃料との比較などにより不相当となったときは、賃料の増額を請求することができる。」という規定です。この規定の特徴は、契約書にそのような規定が盛り込まれていなくても増額請求ができるし、また契約の更新時期だけでなく、期間途中でも請求ができるという点です

 では、どのような事情があれば増額請求できるかですが、おおざっぱに言うと2点。①現在の家賃が周辺の相場と比べて低いこと、②現在の家賃を設定した時から見て、全体の家賃相場・地価・固定資産税の額などの経済的事情が上向きに変動したこと、この2点が証明できれば増額請求できることになります。これらは、ネットなどでご自身で調査することもできると思います。

 ただ、家賃増額請求をしたとしても、賃借人がこれに応じるとは限りません。応じてもらえない場合は、調停や訴訟という手続を踏まなければならず、やはり弁護士にご依頼いただくのがよろしいかと思います。依頼を受けた弁護士は、①や②の事情に加え、これまでの賃貸借関係の経緯を詳細に検討し、また不動産鑑定士の意見も聞きながら、調停や訴訟を進めて行きます。

 当事務所で扱った事例の中で、増額請求が認められやすい典型例が3つありますので紹介します。

 1つ目は、家賃増額に対して熱心ではなかったオーナーから物件を譲り受けたケースです(任意売買や競売で)。たとえば、前オーナーが何十年間も家賃増額をしておらず、その後オーナーチェンジがあった場合、家賃が相場からかけ離れたままになっている可能性があります。

 2つ目は、当初の契約が親族間や関連会社間で締結され、その後第三者のオーナーにチェンジがなされた場合です。この場合、特殊な人間関係や事情から、家賃がかなり低く設定されていることがあります。

 3つ目は、歌舞伎町や六本木といった繁華街の店舗の物件です。繁華街の店舗物件の相場は、住宅やオフィスの相場よりも変動の幅が大きく、比較的短期間で周辺相場が上昇することがあります。

 以上の3つの例に当てはまりそうな方は、是非一度当事務所にご相談ください。当事務所では、最初の相談で増額できる可能性についてアドバイスをすることができます。

UA-40268731-2